アースガーデン

農的暮らしのデザイン

スクエアフット・ガーデニング(Square Foot Gardening)

1) スクエアフット・ガーデニングとは?

写真1

1976年に元エンジニアのメル・バーソロミュー(Mel Bartholomew)が確立した方法です。園芸や農業の知識がなくても簡単にスタートでき、維持管理が楽で人気のある方法ですが、日本ではまだあまり知られていません。

私は2010年頃に知人が使っていたスクエアフット・ガーデン用の木枠を譲っていただき、その栽培方法も教えてもらって、美山町のアースガーデンの庭で使い始めました。京丹波町の現在の自宅に転居してからは、書籍や公式サイトにも目を通し、オンライン・コースも受講しその創始者が提唱するやり方も学びました。

作り方を簡単に説明します。まず木枠の植え床を作り、その中にグリッド〈=格子)を作ります。そのグリッドはスクエアフットと呼ばれ、植え付けの基本単位となります。写真1 は2021年5月に今の自宅で私が作った標準サイズのスクエアフット・ガーデンです。北側には支柱が建てられ、蔓性の野菜や背の高い野菜が植えられます。

写真2 はその1ヶ月半後に野菜などが育っている様子です。写真3 の木枠は知人からいただいた小型サイズのもので、私はこちらのサイズの方が使いやすかったです。なお以上のような正方形以外に長方形の植え床を作ることもできます。複数の正方形や長方形の植え床を組み合わせて、菜園全体をデザインすることもできます。

2) スクエアフット・ガーデンの作り方

(1) 木枠のサイズと形

正方形:標準サイズ

縦4 feet (121.92cm)x 横4 feet (121.92cm)x 深さ6 inches (15.24cm)
このサイズの木枠の中に、木の桟や紐で1 foot x 1 foot (30.48cm x 30.48cm) のグリッドを作ります。グリッドは縦と横にそれぞれ4つずつ合計16個でき、16種類の植物が育てられます。グリッドの大きさは、以下のように木枠サイズや形が変わっても、変わりません。

正方形:小型サイズ(子供や小柄な人向き)

縦 3 feet (91.44cm)x 横 3 feet (91.44cm)x 深さ6 inches (15.24cm)
この木枠ではグリッドが縦と横にそれぞれ3つずつ合計9つでき、9種類の植物が育てられます。標準形は広すぎて中のグリッドに手が届きにくいことがあるので、小型サイズのものがアメリカの学校菜園では好まれています。私にとっても小型サイズの方が使いやすいことがわかりました。

長方形:サイズは自由

縦(=奥行き)に2つ(または3つ)のグリッドで、横のグリッド数はふつう4つか5つですが、好きな数にできます。奥行きが2つのグリッドの細長い長方形植え床は、建物の壁や塀の前に設置することもでき、使いやすいです。ガーデンのスペースの形や広さに応じて、正方形の木枠と長方形木枠を複数組み合わせて菜園全体をデザインすることもできます。

もし木枠にペンキや木質保護剤を塗布したければ、外側のみにして、土と接する内部には塗らないでください。木枠の深さがこの程度で良いのか、という疑問がよく出されるそうですが、創始者のメルさんが推奨する以下(3)の混合土を使えば、この深さで大抵の野菜は作れるとのことです。それ以外の土を使う場合は、少し深めにした方が良いかもしれません。

(2) グリッドの作り方—-木の桟 または紐やロープを使用

木枠に縦横に桟を渡して木ねじで固定しグリッドを作ります。正方形標準サイズだと、桟の数は縦3本、横3本で合計16のグリッド。正方形小型サイズだと縦2本、横2本で合計9つのグリッドができます。または木枠上に釘を打ち、紐やロープを渡してグリッドを作ることもできます。スクエアフット・ガーデンではグリッドが植え付け単位となるので、必ず作るようにと言われています。    

(3) 配合土

この方法を考案したメルさんはMel’s Mix(メルの配合土)という土を、自分でブレンドして作り、スクエアフット・ガーデン用に使うことを強く推奨しています。 一番簡単で維持管理も楽で、素晴らしい成果が得られるとされていますが、一部に環境面での懸念があったり、日本で入手しにくいものが含まれています。以下がメルさん推奨の配合土です。

1) ピートモス、またはココナッツ繊維(=ココピート)  1/3
2) バーミキュライト (coarse type—粗粒のもの) 1/3
3) コンポスト(=堆肥。複数をミックスする) 1/3

まず 1) のピートモスは吸湿性が高く、市販の園芸土のほとんどに配合されていますが、湿地生態系を破壊して掘り上げられ、埋蔵量にも限りがあります。加えて酸性の資材です。(酸度調整をしたピートモスも売られていますが、私は酸性の特質を生かした使い方、例えば酸性土を好むブルーベリーに使うような方法が理にかなっていると思います。)ただ環境面の懸念より、私はピートモスよりもココナッツ繊維の使用をお勧めします。ココナッツ繊維はココヤシの廃棄物で、以前はレンガ形をしたものが、ココナチュラル、ココブロックなどの名称で、ホームセンターや百均ショップで売られていました。バケツに入れて指定分量の水を加えると、戻って土のようになります。

これらは最近、店頭では見かけなくなりましたが、通販でココピートその他の名称で販売されています。 

2) のバーミキュライトですが、ホームセンターや園芸店で売られているものは、メルが勧める粗粒のものではありません。私は以下の通販で粗粒のものを見つけ購入しました (注1)。次回に私が配合土を作る時は、粗粒バーミキュライトの代替品として近隣の竹藪を伐採して作られたバイオ炭を5mm~10mmに砕いたものを使いたいです (注2)。バイオ炭はアルカリ性なので、pH調整をする場合は酸性の鹿沼土(小粒)を使います (注3)。くだいたバイオ炭に籾殻くん炭を少し入れたもの半量と、鹿沼土小粒を半量をよく混ぜて、配合土の1/3の分量になるように入れてみようと思います。

(注1) バーミキュライト – たまごや商店
(注2) バイオ炭の施用量上限の目安について:農林水産省
(注3) 鹿沼土とは?pHや赤玉土との違い、特徴は? – HORTI ~ホルティ~ by GreenSnap)

3) のコンポストは、生ゴミ堆肥、生ゴミのミミズ堆肥、草堆肥、腐葉土(落ち葉堆肥)、牛糞堆肥などのうち3種類をミックスします。うち少なくとも1種類は生ゴミ由来の堆肥にすることをおすすめします。そして残る2種類をその他の堆肥にします。腐葉土と牛糞堆肥は市販されています。堆肥には肥料成分が少量含まれるので、それ以外の肥料は不要とされています。ピーマンや万願寺トウガラシのように、栽培期間の長い作物を栽培する場合は、少量の追肥をした方が良さそうですが、米の研ぎ汁で日頃から水やりをしていれば、その必要はないかもしれません。(注意:水やりは毎日ではなく、表面が乾いてからやってください。)

なおメルは推奨していませんが、庭や畑の土を使いたい方がおられるかもしれません。以下のサイト(日本語)では、市販の配合土を使わずにスクエアフット・ガーデニングをする例が書かれています。(→スクエアー・フット・ガーデンの始め方: 手づくり企画「ジャーニー・トゥ・フォーエバー」

(4) 防草シートを使う?使わない?

木枠の中に配合土を入れる前に、防草シートを敷けば、スクエアフット・ガーデンの木枠が置かれた地面の下から雑草が木枠内に出てくるのを抑制できます。ただし、マイナス面もあります。植物の根が防草シートで遮られて、下の地面に入っていけず地中の水分が吸収できないのです。言い換えれば、容器栽培に近い状態になるので、水やりを適切にしなければなりません。

写真6は私がスクエアフットガーデンの講師コースを受講した際、講師資格申請のために必要とされた指定のやり方でスクエアフットガーデンを制作しているところです。木枠の中に防草シートを敷いて配合土を入れています。配合土はココピート、粗粒バーミキュライト、堆肥ミックスの混合にしました。この混合土は10年ほど使えるようです。(結局、私は講師資格を申請しなかったので、今から思えばもっと自分好みの配合土を作っても良かったのですが。でも指定の配合土で今後の様子を観察していくのも勉強になります。)

写真6

(5) 支柱とネット

南側のグリッドから北側のグリッドにいくにつれ、背の低い植物、中くらいの高さの植物、背の高い植物が植えられ、一番北側にはつる性植物用にネット付き支柱などが建てられることが多いです。 

(6) その他…獣除け、虫除け、遮光の工夫

植床が小さいので、防虫、防寒、防風、日除けが必要となった時、全体をネットなどでカバーするのが列状に植えられた畑よりも容易だとされています。参考書籍(2)と(3) には、わかりやすい写真が出ています。

3) 植え方と維持管理

一つのグリッドに1種類の作物が植えられるので、通常全てのグリッドで異なる作物が栽培できます。例えば正方形の標準型では16種類、小型では9種類が育てられ、多様性による病害虫の抑制効果も期待できます。輪作が奨励されますが、そのための植え付け計画を立てる必要はなく、グリッドごとに収穫し終わった作物の後に、別の作物を植え替えていく程度で良いとされています。その理由はおそらく各グリッドには1種類でも、植床全体に多種類が植えられ、混作状態になっているからだと私は考えています。

一つのグリッドに植えられる作物の数は、種類によって異なり、1本(ブロッコリー、ピーマン、キャベツなど)、4本(結球レタス、チャードなど)、9本(ホーレンソウなど)、16本(ニンジン、ラディッシュなど)のいずれかです。下の参考書籍や以下のサイトで野菜ごとの本数を示した表を見ることができます。
https://squarefootgardening.org/wp-content/uploads/2018/12/SFG-Planting-Chart-Download1-2.pdf?fbclid=IwAR0mTXFF1_kD_4c4uJQMubOk5ezj-lgXtzRu8yo9i_3pCZbsjcJ_z2OtQj8 (pdfファイル)

木枠の中は密植状態になるので作物がグリーンマルチの役割を果たし、雑草が抑制されます。コンパニオン関係にある野菜やハーブはできれば隣接するグリッドに植えます。植え替えはグリッドごとに随時行います。作物の残渣と雑草を除去し、移植ゴテ1杯のコンポスト・ミックスをそのグリッドに供給し、混合土と混ぜる方法が推奨されています。

以上、大掛かりな道具は不要で、簡単な道具を使った手作業でできるのが素晴らしいです。この方法は、あらゆるレベルのガーデナーに活用されているそうですが、とりわけ初心者に人気があることが納得できます。決まったやり方があり、親切な助言がたくさんされているガーデニング方法ですが、現場では独自の発展や創意工夫のチャンスが常にあるので、独自の工夫もありだと私は思っています。

いずれにせよ、日本の狭い庭で多品種が栽培できる方法です。ぜひご活用ください。

2023年 植月千砂

参考書籍

以下のいずれもがわかりやすい手引書です。平易な英語で書かれ、説明もていねいです。
(2)と(3)ではカラー写真が多く使われ、英文を読まなくてもある程度は理解できます。 
どちらかを購入されることをお勧めします。これらの英文書籍には野菜の栽培方法も紹介されていますが、日本語の野菜栽培に関する書籍も多く出版されているので、参考になさってください。

(1) Square Foot Gardening — A New Way to Garden in Less Space with Less work 2005 Mel Bartholomew
(2) All NEW Square Foot Gardening 2nd Edition — The Revolutionary Way to Grow More in Less Space 2013 Mel Bartholomew
(3) All NEW Square Foot Gardening 3rd Edition — Fully Updated 2018 Mel Bartholomew

公式サイト:
https://squarefootgardening.org (英語)